Treasure Data(トレジャーデータ)とは?特徴的な機能や導入事例をご紹介(Vol.1)
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昨今、顧客体験の最適化 / 意思決定のためのカスタマーデータプラットフォーム(CDP、Customer Data Platform、以降CDP)の活用が注目を集めています。Treasure Data (トレジャーデータ)はCDPという言葉ができる前から顧客基盤サービスとして業界を牽引してきたSaaSとなっています。
そこで本ブログ記事ではCDPソリューションであるTreasure Data (トレジャーデータ)の概要/ 特徴的な機能 / メリット・デメリット / 事例を分かりやすく解説します。
Treasure Dataとは?
Treasure Data(トレジャーデータ、以降Treasure Data)は米国Treasure Data, Inc.が開発・提供する、クラウド型CDPです。
Treasure Dataはデータの収集・統合・分析・連携すべてを1つのサービスで提供しており、Web管理画面のGUIで開発・運用が可能です。
Treasure Data社
Treasure Data社は日本法人があり、提供するヘルプマニュアルや、Web管理画面のGUIは、日本語対応が行われています。
国内外450社を超える導入実績があり、様々な業界の要件に対応できる柔軟性と製品としての信頼度の高さが強みと言えます。
近年ではAIやMarketing Automation(MA)に注力し実際のマーケティング施策実施への活用もできるようになってきています。
Treasure Data(トレジャーデータ)の特徴的な機能3選
さまざまな機能があるTreasure Data ですが、いったいどのような特徴があるのでしょうか?
多岐にわたる機能のうち、代表的な3つの機能をご紹介します。
「Integrations Hub」によるデータ連携
Treasure Data には「Integrations Hub」というコネクタを用いたデータ連携を、GUIベースで設定できる機能があります。
通常データ連携を行う際には、接続情報や連携方式を実装する必要がありますが、そういった手間なくデータの取込・出力が実現可能です。
コネクタの種類は200以上あり主要な連携先サービスは網羅されています。
「Data Workbrench」によるデータ統合
取込をしたデータは、「Data Workbrench」で自由度の高いデータ統合が可能です。
「Data Workbrench」に含まれるWorkflow機能(digdag)で、定型的な処理のオートメーション化を実現でき、Python等の言語を利用した複雑なデータ統合も実現可能となります。
データ加工で主に用いられるSQLは、高速な処理に強いTrino (Presto)、大量データに強みのあるHiveの2種のクエリエンジンが利用可能です。
またTreasure Dataでは、CDPの要件としてよくある顧客のID統合処理のテンプレート提供もあります。(複数のサイト間に存在する同一人物を設定した条件を元に特定)
「Audience Studio」による分析・施策アクティベーション
Treasure Dataの最大の特徴と言っても良いのが、豊富なデータ活用機能です。
DWH製品などのデータ保持サービスでは、外部ツールへ連携してデータを活用することが一般的ですが、Treasure Dataでは、同サービス内にて分析・施策アクティベーションが可能です。
まず、「Audience Studio」を説明するうえで押さえておくべきは、Master Segment(=ペアレントセグメント)を作成し、顧客リストに様々なテーブルをGUI操作で紐づけできる機能です。
画面上の各種項目を設定し、目的に合った顧客リストを即座に構成することができます。
さて、次に作成したMaster Segmentに対して行える便利な機能を紹介します。
分析機能
Predictive Scoring |
GUIによる操作で機械学習の一連のプロセスをワンストップで実現。 属性・行動情報をもとにセグメントのユーザーにスコアを割り当て、商品の購入確率などを予測可能。 |
AutoML | Workflowで専用のオペレーターと簡単な記述で機械学習や可視化や分析などを実現。 |
PrecisionML | 顧客のRFM予測、顧客への商品レコメンドを可視化するダッシュボード |
Hivemall | SQLで機械学習を行うことができるライブラリ |
Custom Scripts | Workflowを利用してPythonScriptを実行できる仮想環境を提供。 |
施策アクティベーション機能
Audience Agent | 自然言語でAIとチャットし、顧客セグメントなどを作成 |
Audience Studio |
作成したMaster Segmentに条件を設定しセグメントを作成。 作成したセグメントは様々な分析・施策の対象に設定できる。 |
Journey Orchestration | カスタマージャーニーをマウスのドラッグ&ドロップによって作成できる機能 |
Agentic Engage |
メール等の配信を実行する機能。 コンテンツ管理も可能。 |
これらに加え、前述したIntegrations Hubによるデータ連携を利用して外部サービスへデータ連携をすることも可能です。
Treasure Data(トレジャーデータ)のメリット/デメリット
豊富な機能があるTreasure Dataの導入メリット/デメリット(苦手なこと)を紹介します。
Treasure Data(トレジャーデータ)のメリット
Treasure Dataを導入することで感じられる主要なメリットは、次の3つとなります。
- データの取込・加工~施策分析の実施までTreasure Data で完結することができる
通常マーケティング施策を実行できるプラットフォームを構成するためには、DWH製品やMAツールなど複数の製品を組み合わせることが必須となります。
その場合、Treasure Dataを導入した場合に比べ保守運用費や開発コストが増大し、各製品に精通したエンジニアの確保も必要となってきます。
その点、Treasure Dataはサポートも充実しているため、1つの環境について注力すればよいのは大きなメリットといえます。 - GUIベースで技術者を介さずデータ活用ができる
データを活用したマーケティング施策を行う時に障壁として、エンジニアを介さなければ実行できない、といったことが挙げられます。
各チームのコスト、スケジュール調整を行っていては、迅速な施策実行ができません。
Treasure Dataでは、基本的にGUIベースで施策実行までが実現できるため、エンジニアを介さなくともデータへアクセスし施策実施・分析まで完結することができます。 - コネクタによるデータ連携コストの低減
CDPを構築する際にハードルの1つとなるものが、データ連携方法です。
対向システムごとに様々な制約があり部分最適をする必要がありますが、Treasure Dataの提供しているコネクタに含まれるシステムであれば、画面上から設定するだけでデータ連携を実現することが可能です。
将来的に様々なデータ連携が想定されるCDPにおいて、データ連携の設定が簡易であることは大きなメリットといえます。
Treasure Data(トレジャーデータ)のデメリット
さまざまな機能があるTreasure Dataですが、万能ではありません。導入に当たって注意すべきポイントも2つご紹介します。
- データレイク製品としての利用
Treasure Dataには、基本的に非構造化データ(例:PDF、Word文章)は保持できない仕様となっているため、ありとあらゆるデータを保持するデータレイクとしての活用は期待できません。
またTreasure Dataは、データインポート件数・データ保持件数がライセンス内容によって制限があるため、超大量データ(例:機械のセンサーデータなど)はあらかじめサマリした状態で保持するなどの工夫が必要となるケースもあります。
Treasure Dataは、CDPとして顧客データを集約することが得意であるため、データサイエンスなどのあらゆるローデータを、そのまま保持してエンジニア自身が加工作業を行うプラットフォームとしては別のソリューションを選択する余地があるといえます。 - 後続の展望を踏まえた初期導入が必要
前述した通りTreasure Dataでは、さまざまな機能があるため初期導入ですべてを実装せず段階的に利用シーン及び機能の拡張をしていくことが多いです。
そのため初期構築時には、将来展望も検討したうえで設計することが重要となってきます。
Treasure Dataに限らず、初期構築時に決めた設計がネックとなって利用や権限制御に制約が発生したり、追加開発・保守運用にコストが想定よりかかってしまうことは、CDP構築でよく挙げられる事例です。
こういった場合に対応として、初期構築時の設計を根本から作り直すことはデータ基盤サービスである側面からかなりのコストがかかってしまいます。
導入時に実現したいCDP構想図をTreasure Dataの設計へ落とし込むことが重要となります。
Treasure Data(トレジャーデータ)による課題解決・導入事例
最後にTreasure Dataを導入した場合の具体的な課題解決・導入事例を紹介します。
よくある課題とTreasure Data(トレジャーデータ)による解決
よくある課題①:データが点在していて活用できない
大企業のクライアント様で実際によくある課題として、部門別にデータ基盤を構築しているため顧客データの全体像が分からなくなったり、重複して同じようなデータを管理しているといったものがあります。
Treasure Dataのコネクタやデータ統合機能を活用し顧客データを1つのプラットフォームで活用することが実現できております。
よくある課題②:施策までのスピード感が無いorコストが高い
IT部門がデータを管理しており実際のビジネスユーザー側がデータ活用することへのハードルが高くなってしまっているケースです。
具体的には技術者に依頼しないとデータが手に入らなかったりセグメント作成にスキルが求められるといったものです。
Treasure Data導入によってGUIベースの操作により利用者自身で施策実施まで可能になることでスピード感向上・コスト削減を実現できています。
導入事例のご紹介
弊社にて実際に導入させていただいた事例については、以下URLより閲覧可能です。
ぜひご覧ください。
https://data-management.dentsusoken.com/treasure-data/case/
まとめ
ここまで、Treasure Dataの概要について解説してまいりました。
最初にTreasure Dataの主な特徴として「データ連携」「データ統合」「分析・施策アクティベーション」の3つをご紹介しました。そして次に導入で期待できること、事例について解説しました。
CDPの構築は様々な課題・ステップがありますが、Treasure Dataは必要な機能をそろえているソリューションです。1サービスで顧客理解を深め様々な施策を実施するためのプラットフォームとして機能する点が多くの企業で採用されている理由といえるでしょう。
本ブログ記事が、多種多様なデータを活用していくためのデータプラットフォーム製品の選定にあたり、皆さまの検討の一助になりましたら幸いです。
電通総研は、データマネジメントの専門家として、お客様のデータ一元管理やデータ活用における戦略策定、データドリブン経営の実現に向けた真の“使える”データマネジメント基盤構築のご支援をしております。
データ基盤の豊富な構築実績に基づくノウハウを体系化したサービスをご提供しておりますので、データ活用でお悩みの際は、是非、電通総研までお声掛けください。
◆ お問い合わせページ:https://data-management.dentsusoken.com/treasure-data/inquiry/
*本記事は、2025年5月1日時点の情報を基に作成しています。
製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。
【筆者】
氏名:及川 賢(おいかわ けん)
経歴:
2016年、株式会社電通総研入社後、
デジタルマーケティング領域のソリューションアーキテクトとして複数の案件に参画し、
Treasure Dataを中心としたマーケティングプラットフォーム開発、コンサルティングに従事。