デジタルマーケティングにおけるパーソナライズの必要性とは?Treasure Data(トレジャーデータ)の『Profile API』について解説(Vol.007)

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デジタルマーケティングの世界では、ユーザ一人ひとりの興味・関心や行動履歴に基づいて、最適な情報や体験を提供する「パーソナライズ」の重要性が、ますます高まっています。

特に近年では、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を活用し、ファーストパーティデータに基づいて実現される「パーソナライズ」が注目を集めるようになっています。

本記事では、「パーソナライズ」の基本的な考え方を解説するとともに、CDPを活用することで得られるメリット、さらにTreasure Data(トレジャーデータ)の『Profile API』を用いたWebやアプリ上でのコンテンツパーソナライズの実現方法についても、体系的に解説します。

デジタルマーケティングにおける「パーソナライズ」とは?

「パーソナライズ」とは、ユーザの属性、関心、行動履歴などのデータに基づいて、最適な情報や体験を個別に提供するマーケティング手法です。

例えば、ECサイトで過去に購入した商品に関連するアイテムをレコメンドしたり、Webサイト上でユーザの興味・関心に合わせてキャンペーンバナーを出し分けたりすることが挙げられます。

なぜ今、「パーソナライズ」が重要なのか?

従来のマーケティングは、テレビや新聞などの限られたメディアを通じて、マス(大衆)に向けた画一的な情報発信が主流でした。

しかし、情報化の進展によりユーザとの接点が多様化し、情報が溢れる現代では、ユーザのニーズもより細分化・多様化しています。
こうした環境下では、ユーザ一人ひとりに最適化された情報を、最適な手段で届ける「パーソナライズ」が、企業やブランドへのロイヤルティ向上やLTV(顧客生涯価値)の最大化に直結する重要な施策となっています。

「パーソナライズ」の主な種類

パーソナライズは、大きく以下の2種類に分類されます。

種類 概要 メリット デメリット

ルールベース

あらかじめ定義した条件に基づいてコンテンツを出し分ける手法。

ユーザの属性だけではなく、時間帯や位置情報なども条件に設定可能。

(例:性別、地域に基づいたおすすめ表示)

実装が簡単

制御しやすい

柔軟性が低い

複雑な条件には対応しづらい

アルゴリズムベース

機械学習や統計モデルにより、ユーザの行動や傾向を予測してコンテンツを出し分ける手法。

(例:購入履歴に基づいたおすすめ)

精度が高い

モデル構築が必要

ブラックボックス化しやすい

なお、Treasure DataAudience Studioでは、これら両方のアプローチでセグメントを作成できるため、目的やリソースに応じて柔軟なパーソナライズが実現可能です。

CDP(顧客データ基盤)を活用した「パーソナライズ」の優位性

CDPを活用した「パーソナライズ」には、環境面と機能面の両方で明確な優位性があります。

CDP(顧客データ基盤)を活用した「パーソナライズ」の環境面での優位性

近年、パーソナライズを取り巻く技術環境には、以下のような大きな変化が起きています。

  • サードパーティCookieの廃止:
    従来のリターゲティング広告が機能しづらくなり、ファーストパーティデータの活用が不可欠になってきている。
  • 個人情報保護の強化:
    日本の個人情報保護法や欧州のGDPRなどの規制により、データ利用の透明性と管理体制の強化が求められている。

こうした背景から、企業はより信頼性の高いデータ基盤を構築し、ユーザとの関係性を深める必要性が高まっています。

CDP(顧客データ基盤)を活用した「パーソナライズ」の機能面での優位性

一部のMAツールやCMSにもパーソナライズ機能が備わっていますが、以下のような課題が残ります。

  • 複雑なセグメントが作成できない:
    柔軟な条件設定が難しく、ターゲティングが限定される。
  • データソースが限定的:
    取得できる情報が限られているため、ユーザの理解が浅くなり、セグメントの精度が低下する。
  • チャネルごとに異なるパーソナライズが行われる:
    統一した体験が提供できず、ユーザ視点での一貫性が損なわれる。

CDP(顧客データ基盤)による解決とTreasure Data(トレジャーデータ)の強み

CDPは、Web、アプリ、メール、店舗など、オンライン/オフライン問わず様々なチャネルの信頼性の高いデータを統合し、正確で一貫したユーザ像を構築可能です。これにより、より精度の高いパーソナライズが実現できます。

さらに、Treasure Dataは、本記事で紹介するWebやアプリ上でのコンテンツパーソナライズ に加え、CDP内包型のMA機能であるEngage Studio や、豊富な連携先サービスを通じて、あらゆる施策において統一されたユーザ体験を提供可能です。

これにより、ユーザとの接点をシームレスに統合し、企業やブランドへの信頼やロイヤルティの向上につながります。

Treasure Data(トレジャーデータ)の『Profile API』を活用したコンテンツパーソナライズの実現方法

Treasure Data(トレジャーデータ)の『Profile API』とは?

『Profile API』は、Treasure Dataが提供する機能のひとつで、ユーザのプロファイル情報やAudience Studioで設定したセグメント情報を、外部システムからリアルタイムに取得できるAPIです。
このAPIを活用することで、Webサイトやアプリ上で、ユーザごとに最適化されたコンテンツを表示することが可能になります。

Treasure Data(トレジャーデータ)のセグメンテーション機能を活用したコンテンツパーソナライズ例

Treasure Dataでは、GUI上で柔軟にセグメントを作成できるほか、SQLやPythonなどの技術を活用することで、より高度なユースケースにも対応可能です。
以下は、Treasure Dataが持つ豊富なセグメンテーション機能と『Profile API』を活用して、Web上の表示内容を「パーソナライズ」する例です。

セグメント条件 表示コンテンツ例
年齢:20代、性別:女性 20代女性のトレンド商品バナーを表示
購入履歴:高額商品あり プレミアム会員向け限定クーポンを表示
Predictive Scoring機能でスコアリングされた退会の可能性が高い会員

サービス紹介バナーを表示

対象者限定のクーポンを表示

Treasure Data(トレジャーデータ)の『Profile API』を活用する処理の流れとは?

Webページで『Profile API』を活用する際の基本的な処理の流れは以下の通りです。

なお、『Profile API』はユーザの属性情報やセグメント情報の提供までを担います。そのため、コンテンツの表示制御は、既存のCMSJavaScriptなどでの実装が必要となります。

  1. ページ読み込み時に、ユーザの会員IDなどをキーに『Profile API』を呼び出す
  2. APIレスポンスから、ユーザの属性情報やセグメント情報を取得する
  3. CMSや広告配信システムなどと連携し、取得した情報に基づいて動的コンテンツを表示する

まとめ

ここまで、「パーソナライズ」の基本的な考え方から、CDPの活用によるメリット、そしてTreasure Dataの『Profile API』を活用した具体的な実現方法について解説してまいりました。

パーソナライズは、ユーザ体験の向上とマーケティング成果を最大化させる重要な施策であり、ユーザ視点でも欠かせないものとなりつつあります。
Treasure Dataの『Profile API』を活用することで、ユーザを深く理解したうえでパーソナライズを実現できます。これにより、ユーザとの関係性をより強固にし、企業やブランドへの信頼やロイヤルティの向上につながります。

電通総研では、CDPの導入支援はもちろん、CMSやMAツールなど周辺システムとの連携を含めた、豊富な実績とノウハウを有しています。
CRM基盤全体の構築や刷新などをご検討の際にも、是非、電通総研までお気軽にご相談ください。

◆ お問い合わせページ:https://data-management.dentsusoken.com/treasure-data/inquiry/

*本記事は、2025年9月1日時点の情報を基に作成しています。

製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。

【筆者】
氏名:岡本 卓也(おかもと たくや)
経歴:
2018年、株式会社電通総研入社後、
CMS / CIAM / CDPなどのデジタルマーケティング領域におけるソリューションアーキテクトとして、複数のプラットフォーム開発、コンサルティングに従事。

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