Treasure Data 『Engage Studio(エンゲージ・スタジオ)』とは?(Vol.010)

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Treasure Dataは2025年4月に次世代マーケティング機能『Engage Studio(エンゲージ・スタジオ)』をリリースしました。
本記事では『Engage Studio』の機能や特長を整理しつつ、従来のMAツールとの比較やユースケースについて解説します。Treasure Dataを活用した効率的なマーケティング施策を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

Treasure Data 『Engage Studio(エンゲージ・スタジオ)』とは?

『Engage Studio』は、Treasure Data CDPとシームレスに連携しながら、顧客とのエンゲージメントをより高いレベルで実現するマーケティングオートメーション(MA)機能です。「Audience Studio」や「カスタマージャーニーオーケストレーション(CJO、以降CJO)※」 などと組み合わせることで、これまで複数のツールや手動オペレーションに頼っていた領域を統合し、顧客とのコミュニケーション設計、実行、最適化までをTreasure Data1つで完結することが可能です。

「そもそも、MAツールで何ができるの?」「CDPにMA機能を担わせるメリットは?」といった疑問をお持ちの方は、CDP(顧客データ基盤)のみでMAシナリオを実現できる時代が来た? CDPの進化を解説(Vol.4)のブログで解説しておりますので、ぜひご覧ください!

※「カスタマージャーニーオーケストレーション(CJO)」:マーケターが描くカスタマージャーニーを自動化して実現することができるTreasure Dataの機能要素の1つ。詳細はTreasure Dataの『Customer Journey Orchestration』とは?機能と使い方を解説(Vol.5)のブログをご確認ください。

Treasure Data 『Engage Studio(エンゲージ・スタジオ)』の主な機能4選

Engage Studio』は、メッセージの作成から配信、パーソナライズ、効果測定といった施策実施に必要な機能を備えており、誰でも簡単に、高度なマーケティング施策を展開できる環境を提供しています。
主な機能は以下の通りです。

  1. 送信元情報の設定
    送信元のドメイン設定をUI上から簡単に行うことが可能です。詳細な手順はこちらから確認することができます。
    また、同一ドメインに対して送信元のプロファイルを複数設定可能なため、配信内容やブランドに応じて送信元アドレスを選択することもできます。
  2. コンテンツ作成
    配信コンテンツは、基本的にコンテンツブロックをドラッグ&ドロップで配置していくことで作成できます。さらに、多くのメールテンプレートが用意されており、思い描くイメージに近いメールを効率的に作成することが可能です。

    マーケティングにおいて欠かせないのが、顧客一人ひとりに寄り添ったパーソナライズです。
    『Engage Studio』では「マージタグ」・「Liquid」という2つの機能を用いてコンテンツのパーソナライズを実現します。
    ・マージタグ:ノーコードで単純な動的コンテンツを挿入可能
    ・Liquid:構文や変数を用いてロジックを記述でき、より高度なパーソナライズが可能
  3. メール配信
    メールの配信は、作成したセグメントに対して行うスポット配信と「CJO」内のアクティベーションステップに到達したプロファイルに対して行うシナリオ配信の2種類の方法があります。
    ※2025年11月1日時点で配信可能なチャネルはメールのみとなっています。
  4. 配信履歴の蓄積
    メール配信のログや配信結果(開封、クリック、バウンスなど)は自動生成されるテーブルに保存される仕組みとなっているため、このテーブルに対して集計などを行うことで、柔軟な分析が可能です。また、このテーブルをペアレントセグメントに紐づけることで、配信結果をもとにしたカスタマージャーニーを組むといった活用も可能です。

Treasure Data 『Engage Studio(エンゲージ・スタジオ)』の優位性とは? MAツールとの比較

MAツールは多くの企業で導入されていますが、実運用においては「データ連携に制約があり、柔軟なシナリオ設計が難しい」・「施策の効果検証が不十分」といった課題が挙げられます。
こうした課題に対して、『Engage Studio』はTreasure Data CDPとシームレスにつながっているため、CDPを最大限活用したより高度な施策展開を可能にしており、CDP+MAの新しい選択肢となりつつあります。

以下の比較表では、従来のMAツールと『Engage Studio』の違いを整理します。

Treasure Data 『Engage Studio』

従来のMAツール

データの管理・活用
  • Treasure Data CDPで管理されているデータをシームレスに統合
  • データ連携不要
  • 複数ツールにまたがってデータが分散管理されており、施策ごとにデータ連携が発生

パーソナライズ
  • シームレスに統合された全顧客データから柔軟にパーソナライズされた施策が可能
  • Liquidによる柔軟なコンテンツパーソナライズも可能
  • CDPから連携されるデータに制限されたパーソナライズ
  • 一部のツールでは独自言語等を用いた高度なパーソナライズが可能
分析・レポート
  • SQL等を用いて柔軟に高度な分析が可能
  • TDに備わったAI機能(AI Agent Foundry)が顧客データの分析をサポート
  • 標準のダッシュボードで可能な分析項目に限定
施策のPDCA速度
  • シームレスなデータ活用や柔軟な分析、顧客データを理解したAIの活用によりマーケター自身で高速なPDCAを実現可能
  • 複数のツールや組織にまたがった施策の管理により、データ活用や分析などの要所でリードタイムが発生し、PDCAが鈍化
ツール管理・運用
  • 顧客データの統合から施策のPDCA1プラットフォームで完結でき、煩雑な管理が不要
  • 運用体制/業務がシンプル化
  • 複数のSaaS製品が導入されており、管理コストが嵩む
  • ツールごとに運用体制/業務の整備が必要

Treasure Data 『Engage Studio(エンゲージ・スタジオ)』のユースケースをご紹介

ここでは、施策実施においてありがちなシーンを想定して、『Engage Studio』がどのように活用できるのかをご紹介します。

ロイヤルユーザー向けの特別なオファー

LTVスコアによるロイヤルティ施策を検討したい場合にも『Engage Studio』を活用できます。
まず、CDPに蓄積された購買履歴をもとにLTVスコアを算出し、顧客をランク分けします。それぞれのランクに応じたコンテンツ内容(限定クーポンや先行販売情報など)を用意しつつ、さらに「Liquid」を用いて個別に興味のありそうな商品のコンテンツ内容(限定クーポンの中身をスニーカーやトップスなどに出し分け)にパーソナライズして配信します。「CJO」でランクごとのシナリオを用意しておくことで、顧客との継続的なエンゲージメントを自動で構築することができ、人的コストを抑えながら高精度な施策展開が可能です。

Web/アプリ行動にもとづくレコメンド配信

『Engage Studio』では、CDP上に蓄積されたECサイトのカート情報やWeb行動ログをもとに、購入直前で離脱したユーザーを検出し、24時間以内にパーソナライズされたリマインドメールを自動配信することが可能です。これまで日次バッチ等により、ログを検知し、データを連携し、MAツールで配信処理を行うことでリマインドメールが届けられていましたが、データ連携が不要になることでログの検知から即座にリマインドメールの自動配信が可能となります。
その際、配信するコンテンツには、関連商品のレコメンドなどを組み込むことでより効果的な施策となるでしょう。このように施策の企画から配信までをマーケターの手によって実現できるだけでなく、顧客ごとに最適なタイミング・内容で訴求できるため、コンバージョン率(CVR)の向上が期待できます。

まとめ

ここまで、Treasure Dataのメール配信機能『Engage Studio』について、主な機能や優位性・ユースケースをご紹介いたしました。

Treasure Dataでは、今回ご紹介したMA機能のほかにAI機能も強化しております。
強力なCDP製品にMA機能とAI機能が加わることで、マーケターやその周辺組織の業務効率化が期待されます。このように市場が変遷してきている今、改めて自社のマーケティングシステム環境が最適な状態かを見直すタイミングが来ているのではないでしょうか。

電通総研では、CDP・顧客データ活用のプロフェッショナルとして「これからの顧客体験を発想して創る」ためのご支援をしております。
本記事で取り扱ったようなMA領域についても、現状業務・システムのアセスメントや、MAのリプレースなど、幅広くご相談いただけます。
お悩みの際は、ぜひ電通総研までお声がけください。

◆ お問い合わせページ:https://data-management.dentsusoken.com/treasure-data/inquiry/

*本記事は、2025年11月1日時点の情報を基に作成しています。
 製品・サービスに関する詳細は電通総研のWebサイトからお問い合わせください。

<筆者>
氏名:妹尾 麟太郎(せのお りんたろう)
経歴:
2023年、株式会社電通総研入社後、
デジタルマーケティング領域のソリューションエンジニアとしてTreasure Dataを中心としたマーケティングプラットフォーム開発に従事。

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