AIエージェントでマーケティングが変わる!一人で完結する次世代マーケティング(Vol.011)

  • 公開日:
  • 最終更新日:

マーケティング現場では、顧客接点の増加やデータ量の急増により、従来のマーケティング手法では対応しきれない課題が明確になってきています。ターゲットの詳細な分析やパーソナライズされた施策、迅速なPDCAサイクルの実現には、膨大な工数と専門的な知識が求められるため、マーケティング現場の負担は大きいのが実情です。

近年、AI技術の進化によって、こうしたマーケティング領域の課題を解決する新しい仕組みが登場しています。それがAIエージェントです。本記事では、マーケティング領域で注目が高まるAIエージェントの活用と、その可能性についてわかりやすく解説します。

マーケティング業界におけるAI活用のトレンド ~生成AIや予測分析~

マーケティング業界では、AIの活用が急速に広がってきていますが、単なる業務効率化のためのツールではなく、顧客体験を向上させるための重要なテクノロジーとして注目されています。ここでは、現在のAIマーケティングの主要トレンドを整理します。

生成AIによるコンテンツ制作

広告コピー、ブログ記事、SNS投稿など、マーケティングに欠かせないコンテンツ制作は、従来は時間とコストがかかる業務でした。生成AIは、マーケターの指示や要望を自然言語で理解し、会話形式で調整しながら大量のコンテンツを短時間で生成できます。これにより、ブランドらしさを反映した記事や広告コピーをスムーズに作成でき、運用の負担が軽くなります。

パーソナライズの高度化

顧客は「自分に合った情報」を求めています。従来のマーケティングオートメーション(MA)ツールでも、属性や行動に基づいたパーソナライズは可能でした。しかし、AIを活用することで、その精度と解像度は大きく向上します。
これにより、従来のセグメント単位のパーソナライズから、顧客一人ひとりに寄り添うマーケティングの実現が可能になります。

予測分析を基にした意思決定の支援

AIは過去の購買履歴や行動データをもとに、顧客の次のアクションを予測します。これにより、離脱防止やLTV向上のための施策を事前に検討できるようになります。さらに、AIは予測結果に基づいて「どの施策を優先すべきか」「どのタイミングで実行すべきか」を提案し、マーケターの意思決定を支援します。
例えば、など、最適な選択肢をマーケター向けにAIが示すことで、マーケターは、より根拠を持ってスピーディーに施策を決定できます。

マーケティングプロセス全体を支援するAIエージェントとは?

前述した生成AIや予測分析はマーケティングの効率化/高度化を大きく推進しています。しかし、それらはAIによる「部分的な支援」だと言えます。それに対して、今注目されているのは、マーケティングプロセス全体を支援できるようなAIエージェントです。AIエージェントは、分析や提案だけでなく、サポートする仕組みであり、「プロセス全体の自動化」を担うことで、マーケターの業務変革しようとしています。

AIエージェントとは?定義・特徴

AIエージェントとは、自然言語の指示をもとに、その目的を達成するためにいくつかのタスクを連続的に判断し、実行することのできるシステムです。

エージェントとのやり取りのイメージ(自動車業界の場合)を見てみましょう。

===
マーケター>
顧客ステージごとの傾向をもとに、改善のための施策を提案してください。

AIエージェント>
商談中の顧客の試乗率に悪化傾向がみられます。試乗率を改善するための施策を検討します。
AIエージェント>
メールとLINEを活用したMA(マーケティングオートメーション)シナリオが効果的です。仮イメージをMAツールで設定しました。

マーケター>
顧客ステージごとの傾向をもとに、改善のための施策を提案してください。

AIエージェント>
商談中の顧客の試乗率に悪化傾向がみられます。試乗率を改善するための施策を検討します。

マーケター>
コンテンツにパーソナライズ要素を組み込みたいです。

AIエージェント>
〇〇〇のロジックで集計し、結果をXXXテーブルに格納しました。
以下のスクリプトでパーソナライズが可能です。
===

このように、マーケターが「顧客ステージごとの傾向を教えて。」といった自然言語の指示をするだけで、AIエージェントはデータを分析し、施策の改善案を設計し、必要に応じて実行まで行うことができます 。一度の実行中に十分な結果が得られなかった場合には再計算を行うなど、自己修正も可能です。
つまり、AIエージェントは、我々の意見をくみ取り、自律的に考え、必要な作業をこなしてくれる優秀なアシスタントと言えるでしょう。

AIエージェントで実現するマーケティングプロセス

ここでは、具体的な、マーケティングプロセスとAIエージェントの役割をご紹介します。

①プランニング

マーケティングにおける従来のプランニングでは、SQLを使ったアドホック的な顧客分析*から始まり、マーケターが机上で戦略やカスタマージャーニーを設計する必要がありました。シナリオ設計も手動で行うため、データ抽出や分析に時間がかかり、スピード感に欠けるのが課題でした。
*アドホック的な顧客分析:個別の課題や突発的に発生する問題への対処を目的とする際に実施されるデータ分析の手法

AIエージェントの導入後は、顧客分析はAIが膨大なデータをリアルタイムで解析し、セグメントやペルソナを自動抽出。マーケターは「新規顧客向けキャンペーンを設計して」と指示を行うだけで、AIがデータに基づいた戦略案を提示します。さらに、GUIAIが連携することで、施策設計やシナリオ作成も自動化でき、マーケターは戦略の方向性の確認に注力できます。

②施策実行

現状では、GUIを使ってセグメントを作成し、シナリオを設定、さらにSQLや複数のツールでコンテンツを組み込み、配信設定を行う必要がありました。こうした作業は煩雑で、マーケターとエンジニアが連携しながら作業する必要があるのが実情です。
AI
エージェントを活用すると、セグメント作成やシナリオ設計はGUIAIが連携して自動化されます。コンテンツ設定やパーソナライズもAIが担い、GUI上で確認・微調整するだけ。マーケターは細かな設定を意識する必要がなくなり、施策実行のスピードと精度が大幅に向上します。

③効果検証

従来は、アナリストがSQLでアドホック分析を行い、マーケターが机上で改善策を検討するという流れでした。これでは、PDCAサイクルが数週間単位でしか回すことができず、改善スピードに限界があります。
AIエージェント導入後は、効果検証のスピードと質が向上します。AICTRCVRなどの指標を即座に可視化し、「件名を短く」「配信時間を変更」など具体的な改善策を提示。さらに、次の施策検討まで自動で進めるため、マーケティング活動全体のPDCAをほとんどリアルタイムで回せるようになります。

このように、AIエージェントはマーケティングプロセス全体を支援し、プランニングから施策実行、効果検証までを一貫して担うことができるのです。

まとめ:AIエージェントが変えるマーケティングのこれから

まとめると、AIエージェントを導入するメリットは以下の3点だと言えるでしょう。

  • 工数削減:複雑な設定や分析を自動化し、作業時間を大幅に短縮
  • PDCAの高速化:改善提案までAIが支援
  • 付加価値の集中:マーケターはクリエイティブや戦略に専念

マーケティング領域でAIエージェントが果たす役割は、今後さらに大きくなっていくと考えられます。従来、専門知識や複数部門の連携が不可欠だった業務が、AIの力で一人のマーケターでも完結できるようになります。これは単なる効率化にとどまらず、より質の高い施策をスピード感をもって繰り返し実行できることを意味します。これによりマーケターは、これまで施策実行に割いていた時間を活用し、ブランド戦略や顧客体験の設計に注力できるようになるでしょう。

AIエージェントを活用した新しいマーケティングの第一歩を踏み出してみませんか?

電通総研では、 CDP・顧客データ活用のプロフェッショナルとして「これからの顧客体験を発想して創る」ためのご支援をしております。
現状業務・システムのアセスメントから、本記事で取り扱ったようなAIエージェントを取り入れた業務変革のご支援まで、幅広くご相談いただけます。

お悩みの際は、是非、電通総研までお声がけください。 

◆ お問い合わせページ:https://data-management.dentsusoken.com/treasure-data/inquiry/

*本記事は、2025年12月31日時点の情報を基に作成しています。
 製品・サービスに関する詳細は電通総研のWebサイトからお問い合わせください。

<筆者>
氏名:鈴木 優輔(すずき ゆうすけ) 
経歴:
2018年、株式会社電通総研入社後、 
デジタルマーケティング領域のソリューションアーキテクトとして複数の案件に参画し、 
Treasure Data
を中心としたマーケティングプラットフォーム開発、コンサルティングに従事。 

 

関連記事