CDP(カスタマーデータプラットフォーム)によるマーケティング業務の効率化とは?Treasure DataのAI機能についてもご紹介(Vol.3)
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デジタル化が加速している昨今、顧客と企業の接点は多様化しており、顧客のニーズも日々変化しています。こうした状況で、より良い顧客体験を提供するためにはスピーディーな施策展開が必要不可欠となっています。
しかし、様々な課題によってマーケティング業務の効率化が困難となっているのではないでしょうか。
そこで本ブログ記事では、お客様からよくお伺いする代表的な課題3点と、マーケティング業務を効率化するためのポイント、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を活用した解決策について解説します。
Index
マーケティング業務の効率化が求められる背景
近年、デジタル化の加速に伴って、企業と顧客との接点はWebサイト、SNS、メール、アプリ、実店舗など多岐にわたるようになりました。
顧客は多くの情報にアクセスできるようになり、ニーズは日々刻々と変化しています。
下図は、エクスペリエンスについて14市場の950人以上のCMOを対象に電通グループが独自で調査した結果です。
多くのCMOがあらゆる顧客接点で、一貫性のあるカスタマージャーニーや真にOne to Oneなパーソナライゼーションが必要だと認識しています。
裏を返せば、製品の質が良くとも、顧客体験が残念なものだと、他社へスイッチされるリスクがあることを示しているとも言えます。
日々のマーケティング業務を効率化し、PDCAサイクル数を増加させ、顧客のニーズに沿った施策を展開し続けることが、より良い顧客体験をつくるうえで重要となってきています。
マーケティング業務を効率化するためのポイントを3つご紹介
マーケティング業務を効率化しようとしたときに、多くの企業がいくつかの課題に直面するのではないでしょうか。本章では、お客様からお伺いする代表的な課題を取り上げながら、解決のための重要なポイントを3つご紹介します。
- 顧客データの一元管理による深い顧客理解
多くの企業では、顧客データが複数のシステムやチャネルに分散し、施策に活用するまでに多くの時間と労力がかかります。また、オンラインとオフラインのデータが統合されていないことで、顧客理解が断片的となり、効果的な施策が打てないという課題をよく伺います。
そこで重要となるのが顧客データの一元管理です。
オンライン・オフラインを含むあらゆる顧客接点のデータを統合することで、マーケター自身が正確な顧客理解をもとに、スピーディーかつパーソナライズされた施策を打つことができるようになります。 - マーケター主導の施策展開
マーケティング業務において、マーケターのみでなくデータエンジニアやIT部門といった他部門との連携が必要となる体制の場合、部門間でのやり取りやデータ分析作業のリードタイムが長くなり、施策のスピーディーな展開に支障をきたします。
それを解決するためには、業務フローの自動化やノーコード/ローコードで操作可能なツールの導入を行い、マーケター自身で自走できる体制づくりが重要です。
マーケターによる自走化が可能となれば、施策展開時の部門間コミュニケーションを省くことができるため、マーケティング業務が効率化されるだけでなく、施策変更や改善の柔軟性も格段に向上します。
さらに、マーケター自身がPDCAサイクルを短く回せる環境を整えることで、仮説検証・改善のスピードが高まり、データに基づいた継続的な施策最適化が可能になります。 - AIを用いた施策設計の効率化
効果的なカスタマージャーニーやセグメントの設計には、高度なデータ処理やツール操作が求められることが多く、マーケターの負担が大きくなりがちです。特に、SQLやスクリプトの知識を必要する場合、施策のたびにエンジニアの手を借りなければならず、スピード感が損なわれます。
こうした背景を踏まえ、近年注目されているのがAIを活用した施策設計の効率化です。
例えば、セグメントに対して効果的な施策をAIが提案したり、顧客属性や行動に応じて最適なコンテンツを自動生成したりといった仕組みがあれば、PDCAサイクルを高速で回すことができます。
これからのマーケティング業務においては、AIを補助的役割だけでなく業務を代行してくれるパートナーとして捉えることが重要となるでしょう。
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)を用いた効率的なマーケティング業務の実現方法~Treasure DataのAI機能についてもご紹介~
前章でご紹介したポイント3つを満たすことができる基盤として、CDP(カスタマーデータプラットフォーム、以後CDP)の活用が注目されています。
CDPとは、様々なコンタクトポイントで収集されるデータを統合した顧客プロファイルの作成から、顧客へのメッセージングやオファーの最適化までを行うためのマーケティングテクノロジーです。
CDPを用いると、Webサイトの閲覧履歴、ECでの購買履歴、店舗での接客履歴など、オンライン・オフラインを問わず様々な接点のデータを統合し、一元管理できます。
さらに、直感的なUIを備えたCDPでは、「直近3か月に店舗で3回以上購入している会員に限定クーポン配布を行う」「配信したメールの開封が見られない会員にはLINEでメッセージ配信を行う」といった、一元管理されているデータと様々なタッチポイントを活用した施策展開を即日行うことも可能となります。
また、最近ではAI機能も充実してきています。
例えば、CDPの代表的な製品であるTreasure Dataでは、生成AIとの自然言語による対話を通じて顧客分析からセグメント作成までをサポートするAIエージェント機能が搭載されています。
このAIエージェント機能では、簡単な指示をするだけで自社顧客の全体分析から可能な施策の提案までを行ってくれます。
提案内容についてさらに深ぼった分析の依頼をすると、結果について可視化のためにグラフ作成まで行ってくれます。
さらには、施策に活用するためのセグメント作成がボタン1つで可能です。
このように、従来、マーケター自身が手を動かす必要のあったセグメント作成や施策の実行結果の分析、それを基にした施策の最適化などをCDP+AIによって代行することが、昨今のトレンドになりつつあります。
弊社の代表的な事例をご紹介します。
ある企業では、従来、マーケティング施策を増やしたいと考えた場合に、マーケター、データチーム、施策ツールのエンジニアが協力する必要がありました。各チームが施策に対する共通理解をしたうえで足並みをそろえて進行する必要があり、①~⑥の一連の作業におよそ240分(リードタイムを含めると10営業日程度)かかっていました。
そんな状況を解決するためにCDPを導入。
マーケターは、データチームや施策ツールエンジニアとの相談を適宜実施しながらも、ほとんどの作業を自走できるようになりました。さらにAIによる業務サポートにより、従来240分かかっていた作業が約60分で対応できるようになり、最大75%の業務効率化を実現しました。
CDPについての詳細は、「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?導入メリットや代表製品をわかりやすく解説(Vol.2)」で、
代表的なプロダクトであるTreasure Dataについては、「Treasure Data(トレジャーデータ)とは?特徴的な機能や導入事例をご紹介(Vol.1)」で解説しておりますので、是非ご覧ください。
まとめ
ここまで、CDPによるマーケティング業務の効率化について解説してまいりました。
マーケティング業務を効率化する上では、「顧客データの統合」「マーケター主導の施策展開」「AIを用いた施策設計の効率化」が重要なポイントであり、それを実現するための基盤としてCDPは非常に有効です。
マーケティング業務を自走化し、顧客体験をより良いものにしていくためにも、CDPの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
電通総研では、 CDP・顧客データ活用のプロフェッショナルとして「これからの顧客体験を発想して創る」ためのご支援をしております。
CDPの豊富な実績・ノウハウを体系化したサービスをご提供しておりますので、お悩みの際は、是非、電通総研までお声がけください。
◆ お問い合わせページ:https://data-management.dentsusoken.com/treasure-data/inquiry/
*本記事は、2025年7月1日時点の情報を基に作成しています。
製品・サービスに関する詳しいお問い合わせは、電通総研のWebサイトからお問い合わせください。
【筆者】
氏名:鈴木 優輔(すずき ゆうすけ)
経歴:
2018年、株式会社電通総研入社後、
デジタルマーケティング領域のソリューションアーキテクトとして複数の案件に参画し、
Treasure Dataを中心としたマーケティングプラットフォーム開発、コンサルティングに従事。